アンクローズ・ヒューマンが良いよねの話

 たまにはただオタクを出すだけのブログを書いてもいいんじゃないかと思って、衝動的に書き並べていこうと思います。RiTurnerです。

 『アンクローズ・ヒューマン/初音ミク』を聴いたことがない人はぜひ聴いてください。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm35755698

 

 『アンクローズ・ヒューマン』は、wowaka氏追悼曲の中で個人的に最高の曲だと思っています。

 少しだけ自分のボカロヒストリーを語ります。俺が小5かそこいらの時に『千本桜』が大流行りして、ボカロという世界が身近にやってきました。ただ正直言って『千本桜』はアニソンに近い毛色があって、言うなれば『紅蓮の弓矢/Linked Horizon』のような、「磊々落落(らいらいらくらく) 反戦国家」「進む意志を嗤う豚よ 家畜の安寧虚偽の繁栄」といった難しい言葉すごい〜みたいな状態で終わりでした。(曲いいのはあっても今ほど噛み締められる能力がありませんでした。)

 そこから暫くして、『裏表ラバーズ』に出会いました。ファースト・インプレッションは「めっちゃ速い」でしかありませんでした。しかし妙に惹かれて、当時ネット環境が十分でなかった自分は、親のPCを借りて聴いたり、友達のPCを借りて聴いたりしておりました(その友達は当時小学生ながらニコニコ有料会員になっている筋金入りのネット人間でした)。そうして俺はwowakaというボカロPに出会い、wowakaを中心にボカロの世界に惹かれていきました。

 

 そんな俺は、ヒトリエとして初音ミクを介さないwowaka氏の歌になお魅力を覚え、ヒトリエも追いかけ、いつかライブも行きたいなどと思っていたある日。当時高校生だった自分は、学校帰りの電車に乗ろうとして、ホームで電車が来るのを待っていたところ、報せを受けました。

 その時の記憶が明瞭なわけではありません。が、一度電車に乗れなかった記憶があります。そして、現在それ以上のショックを受けた記憶がありません。暫くの間、「wowakaが死んだ」ことが脳内を離れず、心臓に入ったヒビが疼き続けるような感覚がありました。

 

 いつまでも俺の音楽の原点であり、俺の憧れであり、決して届かなかった存在がwowakaです。俺の抱えたこの感情と近しい叫びを感じたのが、『アンクローズ・ヒューマン』のファースト・インプレッションです。この曲は、よく読むと初音ミクの視点なのですが、wowakaさんの曲を聴いて育った人間の叫びも籠もっていると思っています。

 俺が一番好きなのが、2番からCメロにかけてです。

 

 

””

 

あたしだけでしょうか 空いた穴にあなたに

似たような姿を 詰めてみても

さあ どれをそれにしよう 代わりのないあなたを

偶然でもいいからさ 見つけていこうじゃないか

 

「あの声があなたに似てましたか」「あの音は同じ気しますか」

「あのリズムは同じでしょうか」「音づかいが似ていませんか」

いいえ愚か似ても似つかない! 真似するだけ無駄というもの

あの人を再現しようとして あの人のことを汚さないでよ!

 

自己表現の一環としたり 泣ける物語を作って

そんなことを平気でやって 「本当に好きでした」ですって?

あたし知ってるよあの少女も 歌も作らず絵も描かない

けど泣いてあの日は寝れなかったよ

 

聴いて

デイ・バイ・デイで歌え あたしの知りたかった

この世界の楽しさ 教えたのはあなただ

聞こえますかこの音 見えてますかこの灯が

これは全てあなたが育てた 「愛」知る人

蒔いた種は花に

 

広がる呼び声に その姿を探す

みんなが願っている もう一度あなたを

生きていなきゃ 今ここにいて声援に応えて

だめだよ だめだよ あなたの居るべき場所は

 

””

 

 

 

 wowakaさんを喪って、別のボカロ曲を嗜んで心を安らげようとしても、ましてwowakaさんに影響を受けたリスペクトある曲、哀悼といって弾いてみたり歌ってみたりカバーしたものを聴いても、空いた穴は埋まらない。俺の心にはwowakaさんを喪った情報しかなかった。

 けれど、俺はwowakaさんに出会って、ボカロの世界の楽しさを知った。あたしの知りたかったこの世界の楽しさを教えてくれたのはあなただ。きっとそうやってボカロにのめりこんだ人は俺以外にもたくさんいて、そうした人々、言うなればwowakaキッズがこれからの世界を築いていく。みんなの心にwowakaさんがいる。

 

 そうして、2番からサビにかけては、どこか喪って塞ぎ込んだ人々に目を向けて、感謝の意を再興させてくれる、立ち上がらせる力がありました。

 

 wowakaさんをみんなが願っている。生きていなきゃだめだよ。だめだよ。あなたのいるべき場所はそっちじゃない。まだ届けて欲しい。そうやって願ってはいけませんか。

 『アンクローズ・ヒューマン』は、俺が深層心理にしまい込んだ気持ちが掘り起こされて、それを認めてくれるような気がするのです。

 

 こうして書いていて、気づきを得られました。俺はこう言いつつも、ボカロ曲をdigりにdigりまくって聴いてるわけでもなく、ヒトリエの曲を全曲知って話せるわけでもなく、ボカロもwowakaさんもめちゃめちゃ愛している、わけではない。ならどういう気持ちを抱えているのか。

 これを書いていて、「感謝」という言葉を打った瞬間に、どこか俺の中でしっくり来て、涙が溢れてしまいました。多分俺は、こうしてwowakaさんにボカロの世界を見せてもらって、知らなかった楽しさを教えてくれて、ありがとうと思っているのだと思います。

 そんな感情を、ミクが抱えていると捉えてももちろんいいし、俺は、俺達の気持ちを代弁して引き出してくれていると解釈しています。

 

 

 すみません、オタク特有の早口で泣き出した経緯を一通り吐き出してしまいました。

 こんな泣いちゃった……!な話じゃなくても、EDMとかでワッ……ワァッ……!ってなった話をするかもしれないので、その時はよろしやす!